ゆうじくん 

 ゆうじくんのお母さんが言っていた。

「家のゆうじは、いつも塾をサボって遊びまわっているのよ。」

「今日も、商店街のおばちゃんに、ゆうじがいたずらで困る!と苦情を言われて悲しかったわ。」

僕は知っていた。

桃が柔らかくてうぶげが可愛いと言って、ゆうじくんはひとさし指でむぎゅっと押して嬉しそうだった。

ゆうじくんは面白い。

ゆうじくんは、勉強が嫌いだからサボるけど、いっしょに遊ぶと楽しい。

僕の知らない遊び方を知っている。

女の子に、意地悪をするのは、好きだからかまってほしくて意地悪をしているのだと僕は思う。

この前、ゆうじくんのポケットの中でカマキリがたくさん生まれた。

カマキリのタマゴをポケットに入れていたことを、ゆうじくんは、忘れてたんだって。

教室で、女の子がキャーキャーと逃げ回っているのを見て、ゆうじくんは嬉しそうに、手のひらのカマキリの赤ちゃんをツンツンしていた。

僕は、できないけど、ゆうじくんはすごいと思った。

秋祭り

ゆうじくんがお母さんに怒られた。

秋祭りのもち投げで、僕らは、いっぱい拾ったもちを家に持って帰った。

ゆうじくんは帰る途中。

商店街のうらの道を歩いていると、近所の家が飼っていたニワトリが散歩していたので

さっき祭りで拾ったもちをニワトリに食べさせてみたらニワトリが

カーコケクックと何度も鳴いて走り回って面白かったとゆうじくんが言っていた。

僕も見たかったなぁと思った。

ゆうじくんのお母さんは、近所のおじさんにひどく文句を言われ注意をされたと言って

ゆうじくんを怒った。

それでも、ゆうじくんはメゲナイ。

いつも楽しいことを、あみだす天才だと僕は思った。


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