三年生の時、空を飛んだ。
畑の上も池の上も、松林の上も両手を広げて低空飛行みたいに飛んで気持ちが良かった。
学校の上だってへっちゃら。
低空飛行で運動場を飛んだ時、クラスの仲間がドッチボールをしていた。
その上を、ビューンと両手を大きく広げて低空飛行で飛んだ時、気が付いた。
僕がいない。
仲良しの、こうすけくんも、さっちゃんも、あきらくんもいたけど、僕の顔が見当たらない。
そうか、これは夢なんだ。
安心して目が覚めたら、僕は涙がでていた。
大人の恋愛小説を書いています
子供のこころ
一枚のチョコレート
お母さん。
田舎育ちだったお母さんの家はとても貧乏だったんだって。
お母さんが小学二年生の時、仲良しのよしこちゃんのお誕生日会に誘われて峠の山を越えてよしこちゃんの家まで歩いて行った。
お母さんは毎日小学校まで峠の山を越えて通っていたんだって。
お母さんは絵が得意だったから、よしこちゃんの顔を描いた絵をプレゼントしたと言っていた。
帰り、よしこちゃんのおばさんからお返しに板チョコを一枚もらったんだって。
お母さんはとても嬉しかったから大事に家まで持って帰ろうと思っていたら、帰る途中で板チョコを無くしてしまった。
お母さんは、また、よしこちゃんの家までの道を引き返して板チョコを探したけどどこにも落ちていなくて誰かに拾われたかなと思うと、とても悲しかったと言っていた。
お母さんが家に帰った時には日が暮れかけて薄暗くなってきていて、田舎の山道は真っ暗で怖かったんだって。
甘いチョコレートは滅多に食べられなかった時代だったと言っていた。
小学二年生の、かわいそうなお母さん。
ゆうじくんのお母さんが言っていた。
「家のゆうじは、いつも塾をサボって遊びまわっているのよ。」
「今日も、商店街のおばちゃんに、ゆうじがいたずらで困る!と苦情を言われて悲しかったわ。」
僕は知っていた。
桃が柔らかくてうぶげが可愛いと言って、ゆうじくんはひとさし指でむぎゅっと押して嬉しそうだった。
ゆうじくんは面白い。
ゆうじくんは、勉強が嫌いだからサボるけど、いっしょに遊ぶと楽しい。
僕の知らない遊び方を知っている。
女の子に、意地悪をするのは、好きだからかまってほしくて意地悪をしているのだと僕は思う。
この前、ゆうじくんのポケットの中でカマキリがたくさん生まれた。
カマキリのタマゴをポケットに入れていたことを、ゆうじくんは、忘れてたんだって。
教室で、女の子がキャーキャーと逃げ回っているのを見て、ゆうじくんは嬉しそうに、手のひらのカマキリの赤ちゃんをツンツンしていた。
僕は、できないけど、ゆうじくんはすごいと思った。
秋祭り
ゆうじくんがお母さんに怒られた。
秋祭りのもち投げで、僕らは、いっぱい拾ったもちを家に持って帰った。
ゆうじくんは帰る途中。
商店街のうらの道を歩いていると、近所の家が飼っていたニワトリが散歩していたので
さっき祭りで拾ったもちをニワトリに食べさせてみたらニワトリが
カーコケクックと何度も鳴いて走り回って面白かったとゆうじくんが言っていた。
僕も見たかったなぁと思った。
ゆうじくんのお母さんは、近所のおじさんにひどく文句を言われ注意をされたと言って
ゆうじくんを怒った。
それでも、ゆうじくんはメゲナイ。
いつも楽しいことを、あみだす天才だと僕は思った。
マサルのこころ
僕の名前はマサル
ボクは、シラカワ マサル 二年生。
お母さんが作ってくれたお弁当を広げた時、となりにいたミホちゃんのお弁当を見たら、おにぎりだけだったから、ボクの卵焼きとタコさんウインナーを分けてあげた。
後ろのタクくんがそれを見て、あついあついとニヤニヤしてボクをからかった。
タクくんもボクの卵焼きとタコさんウインナーがほしかったのかなと思った。
僕の名前はマサル 五年生
僕は塾を休んで校庭のベンチに座って本を読んでいた。
いつのまにか側に可愛い女の子が並んで座っていた。
よく見ると同じクラスのナナちゃんだった。
可愛いなと思ったが、僕は話しかけなかった。
次の日は、先生に怒られるのでサボらず塾に行った。
月曜日、授業中にナナちゃんと偶然目があった。
僕はなんだかドキドキした。 後少しで五年生が終わる。
六年生になったら、ナナちゃんとクラスが変わると嫌だなあと思った。
六年生になった。
僕は校庭のいつものベンチで本を読むのが好きだった。
ナナちゃんとはクラスが変わったが、僕のベンチの横にいつも座ってくれるナナちゃんが好きになった。
まつ毛がクルッとしていて横顔が可愛くて、僕はいつもドキドキする。
僕の本をナナちゃんに貸してあげると、次の日には返してくれる。
本当に読んでいるのかなと僕は不思議に思って、その本の内容を少し話してカマをかけてみた!
僕と同じ感想を話したので僕は恥ずかしくなった。
その内、ナナちゃんが僕に本を貸してくれるようになった。
僕は塾の宿題が大変だったがナナちゃんが、貸してくれた本は全部読んだ。
六年生も終わりに近づき、僕はナナちゃんと離れ離れになるのが嫌だった。
僕は中学受験をしてナナちゃんとは違う学校に通うことになる。
六年生最後の放課後、いつものベンチでナナちゃんを待った。
今日は僕の心臓がドキンドキンと暴れていた。
ナナちゃんが大好きだって最後に言おうと決めていた。
僕の隣に座ったナナちゃんに話そうとした時、ナナちゃんが僕のほっぺにいきなりキスをした!
そして、さようなら!と言って駆けて行った。
僕は石地蔵になったように体が固まって動けなかった。